目次
WordPressの更新対象とは?
WordPressは専門知識のない方でもページの作成・管理ができる、CMS(コンテンツ管理システム)の中でも代表的なツールです。
WordPressはオープンソースのツールであり、有志の方が開発した豊富なテーマやプラグインでカスタマイズができるのが特徴です。
しかし、自由度が高い反面、メンテナンスやセキュリティ対策は自身で行わなければなりません。WordPressを利用しているサイトは第三者からの攻撃対象となるケースも多く、脆弱性対策のためにも常に最新バージョンへとアップデートしておくことが、セキュリティ対策として特に重要です。
最新バージョンへのアップデートといっても、その更新対象にはいくつかの種類があります。それぞれの更新対象についてご紹介します。
WordPress本体
WordPress本体のプログラムは、脆弱性対策などのセキュリティ強化の他にも、新機能追加や不具合修正に伴って最新バージョンがリリースされます。
バージョンアップすることによりWordPressがさらに使いやすくなるため、常に最新バージョンにアップデートしておきましょう。
テーマ
テーマは、Webサイトのテンプレートデザインを設定できる機能です。公式が開発して無料配布しているテーマや有志の方が開発した有料テーマ、自身で開発するオリジナルテーマなど、テーマにもさまざまな種類があります。
テーマはWordPress本体のバージョンアップに伴って、今まで使ってきた機能が使えなくなったり、デザインのレイアウトが崩れてしまったりする場合があります。使用中のテーマに、本体のアップデートに対応した最新バージョンが公開されたら、必ずアップデートするようにしましょう。
プラグイン
プラグインを導入すると、さまざまな拡張機能を容易に導入できます。
プラグインもテーマ同様、WordPress本体のバージョンアップに伴って動作しなくなる場合があるため、対応した最新バージョンが公開されたらアップデートしておきましょう。
また、プラグインの脆弱性を突いてWebサイトが攻撃されるケースも少なくありません。その場合は「脆弱性対策された最新バージョンが公開され次第アップデートする」「別の安全な代替プラグインに切り替える」などの対策をとりましょう。
WordPressの更新時期を知る方法
WordPress本体やテーマ、プラグインの更新時期は、管理画面の通知によってわかります。いずれかの更新データがある場合は、管理画面左側メニュー「更新」の横に、画像のような数字が表示されます。
この場合、17件の更新データがあるということになります。詳細を確認する場合は「更新」メニューをそのままクリックしましょう。
本体、テーマ、プラグインのどれが更新対象となっているか、一覧で確認できます。
また、管理画面の「プラグイン」または外観の中にある「テーマ」の横にも更新通知が表示されているので、それぞれをクリックして詳細を確認する方法もあります。
WordPress本体の更新内容の違い
WordPress本体のアップデートは2種類あります。それぞれのアップデートの違いを把握しておきましょう。
メジャーアップデート
メジャーアップデートとは、大規模なシステム改修や仕様変更、新機能追加時などに行われるバージョンアップです。WordPressにはバージョン番号があり、「5.8」「5.9.2」「4.9.20」など、2桁〜4桁の番号が割り振られています。
「5.8→5.9」や「4.9.20→5.0」のように左2桁の数値が変わるものは、メジャーアップデートを表しています。メジャーアップデートは、およそ4〜5ヶ月に1度の頻度で発生しています。
マイナーアップデート
メジャーアップデートに比べて小さな修正のバージョンアップは、マイナーアップデートと呼ばれています。軽微な不具合修正や脆弱性対策が対象です。
「5.9.1→5.9.2」や「4.9.10→4.9.11」などの左3桁目、4桁目の数値が変わるものが、マイナーアップデートを表しています。マイナーアップデートは必要に応じて随時発生するため、メジャーアップデートよりも頻度が高いです。
WordPress本体のバージョンアップ方法
WordPress更新作業の中でも一番重要となる、本体のバージョンアップ方法をご紹介します。更新作業は事前の準備を怠るとデータ破損などのリスクもあるため、安全に更新するためにも以下の項目は必ず実施しましょう。
1:バックアップをとる
更新前の事前準備として、まずはバックアップをとりましょう。更新作業中のトラブルでデータが破損した場合、バックアップファイルがなければ作業前の状態に戻せません。
WordPressでは、アップロードした画像ファイルやテーマ、プラグインのデータはサーバーに、記事や管理画面の設定情報はデータベース上に保管されています。そのため、サーバーとデータベース両方のバックアップをとる必要があるのです。
これら2つのバックアップをまとめてとれる「BackWPup」や「UpdraftPlus」などのプラグインを利用することをおすすめします。
2:プラグインをアップデートしておく
インストールしているプラグインに最新バージョンが公開されている場合は、WordPress本体の最新バージョンとの整合性を確認するためにも事前にアップデートしておきましょう。
3:テーマをアップデートしておく
プラグインと同様に、利用中のテーマの最新版が公開されている場合は、事前にアップデートしましょう。
4:プラグインを停止する
有効中のプラグインは更新前に停止しましょう。プラグインを有効化したままWordPress本体をアップデートしてしまうと、アップデート時にエラーが発生した際に「アップデートファイルの異常」なのか「プラグインに問題がある」のかといった原因の特定が困難になります。
プラグインの停止方法は以下の通りです。
まずは、WordPress管理画面左メニューの「プラグイン」から「インストール済みプラグイン」をクリックして、インストール済みのプラグイン一覧を表示しましょう。
有効化されているプラグインは、上記画像のように背景色が青色に変わっています。それぞれのプラグイン名の下にある「無効化」をクリックしましょう。
「無効化」をクリック後、背景が白くなり「有効化 | 削除」と表示されていれば、プラグインの停止は完了です。
5:WordPress本体の更新
WordPress本体の更新方法はいくつかあります。主な更新方法についてご紹介します。
【パターン1】自動更新
マイナーアップデート時は、自動更新がデフォルトとなります。WordPress本体が自動で更新されるため、ユーザーが行う作業は特にありません。
もしメジャーアップデート時も自動更新にしたい場合は、利用中のテーマフォルダ内にあるfunctions.phpファイルに以下の記述を追加することで、設定を変更できます。
/* メジャーバージョン時の自動更新有効化 */
add_filter( ‘allow_major_auto_core_updates’, ‘__return_true’ );
しかし、メジャーアップデートの自動更新は、事前にバックアップやプラグイン停止が行えていないとデータ破損のリスクが高いため、おすすめはできません。
【パターン2】ワンクリック更新
ワンクリック更新は、メジャーアップデート時に行います。ボタンを押すだけで更新ができるため、初心者の方にはおすすめです。
メジャーアップデートが可能な場合、管理画面のダッシュボードに以下のような通知が表示されます。「今すぐ更新してください」をクリックしましょう。
クリック後は下記のような更新確認画面が開くため、下記赤枠にある「バージョン 5.9.3-jaに更新」といったボタンをクリックすると、WordPress本体の更新が始まります。
【パターン3】手動更新
WordPressを手動で更新する場合は、公式サイトよりWordPressの最新バージョンをダウンロード後、FTPソフトを用いてWordPressをインストールしているサーバーのファイル操作を行う必要があります。
初学者の方へはワンクリック更新をおすすめしますが、手動更新についての詳細な手順を知りたい際は、公式ページに詳しい手順が載っているのでご確認ください。
WordPress の更新 – 詳細な手順 – サポートフォーラム
6:停止していたプラグインを有効化
更新作業完了後は、停止したプラグインを再度有効化します。WordPress管理画面左メニューの「プラグイン」から「インストール済みプラグイン」をクリックすると、右側にインストール済みのプラグイン一覧が表示されます。
有効化したいプラグイン名の下にある「有効化」ボタンをクリックしましょう。
クリック後、プラグイン名の背景が青色になっていれば有効化の完了です。
バージョンアップ時の注意点
バージョンアップはさまざまなリスクを伴うため、以下の注意点を確認した上で行いましょう。
バックアップをとる
WordPress本体の更新作業前には、必ずバックアップを取りましょう。何らかの原因でサイトや管理画面が表示されなくなっても、バックアップファイルがあれば復元が可能です。
「BackWPup」や「UpdraftPlus」などのバックアップ用プラグインを利用し、日頃からバックアップを取れる環境を作りましょう。
phpファイルを編集する場合は子テーマの用意を
WordPressをカスタマイズする場合、functions.phpやheader.phpなどのテーマファイルを編集する場面も出てきます。
これらのファイルを管理画面で直接編集してしまうと、テーマのアップデート時にファイル全体が上書き更新されて、編集内容が消えてしまいます。
テーマファイルを編集する場合は、子テーマを用意してそちらを編集することで、ファイルの上書きを防止できます。
バージョンアップした際のリスク
バージョンアップ時に起こりうるリスクには、以下のようなものが挙げられます。
プラグインが非対応になる
インストールしているプラグインが、WordPress本体のバージョンアップに伴って非対応になる可能性があります。
プラグインが非対応になると、サイト内でプラグインを利用していた部分の表示や仕様に不具合が発生してしまいます。
その際は、WordPress本体に対応した最新版がリリースされるのを待つか、代替プラグインでカバーする必要があります。
MySQLが動作しなくなる
MySQLとは、データベースの管理システムの1つです。WordPressにおいて、MySQLは記事データや管理画面の情報などを呼び出す際に利用されています。
このMySQLのバージョンが古い場合、WordPress本体をアップデートすると動作しなくなる恐れがあります。
その場合は、MySQLのバージョンを、WordPressの対応バージョンまでアップデートすることが必要です。バージョンアップ時は現行データベースのバックアップを取得してから、慎重に作業を行いましょう。
まとめ
WordPressは、自身でメンテナンスを行わなければなりません。特にセキュリティ面においては、WordPressを常に最新バージョンにアップデートしておくことが有効な対策の1つといえます。
バージョンアップ時のリスクを把握して、更新作業時はバックアップ取得、プラグインの停止などを必ず実施しましょう。