目次
サイト設計とは
サイト設計とは、サイト制作の目的・目標を明確にした上でコンテンツをどこへどのように入れるのか決めていく、基盤作りの工程になります。
SEOを行ったり、ユーザーが使いやすい導線設計にしたりすることで、検索順位やコンバージョン率の向上にも繋がるため、Webサイト制作において最も重要な工程だといえるでしょう。
次からサイト設計の必要性を深堀りしつつ、実際に設計を行う流れをご紹介していきます。
サイト設計をする必要性について
サイト設計が重要な理由としては以下が挙げられます。
- サイト運営の効率化と高品質化につながる
- CVさせたいコンテンツへの導線を組める
- サイト滞在時間や回遊率に影響する
- Googleのインデックス効率化でSEOに影響
それぞれ詳しくご紹介していきます。
サイト運営の効率化と高品質化に繋がる
サイト設計が重要な理由の1つ目は、サイト運営の効率化と高品質化に繋がるためです。
サイト運営の効率化
サイト運営とは、目的に対して必要な施策を実行したり、最新の情報を提供し続けたりするために情報の更新を行うことです。
サイト設計の際、Webサイト制作の目的や目標を決めないままで進めてしまうと、効果的な施策が打てなくなります。
また、更新が多く発生するコンテンツは、動的な実装(管理画面から誰でも更新できる実装)にする内容を設計時に決めておくと、効率的に運用できます。
高品質化
サイト設計をしっかりと行うことで情報が一貫性され、高品質なサイトが作成できます。
たとえば、目的やコンテンツ内容などを決めずブログサイトを立ち上げると、書く内容も記事によってバラバラになってしまい、情報に一貫性のない低品質なサイトになりかねません。
Webサイトの低品質化を避けるためにも、事前にサイト設計を行うことが重要です。
CVさせたいコンテンツへの導線を組める
サイト設計が重要な理由の2つ目は、 CVさせたいコンテンツへの導線を組むためです。
Webサイトを制作する大きな目的に、売上のアップが挙げられます。サイトを活用して売上を上げるために、どのように一連の流れを設計して、適切に進めるかが重要です。
たとえば「Webサイトでリードを獲得してメルマガでナーチャリング」「無料相談会へ参加を促してインサイドセールスでクロージングする」など、売上までの流れを設計したとします。
その際、Webサイトで担うのはリード獲得です。そのため、サイト設計時にサービス説明ページが必要であることや、資料請求などCVの設定が必要になることがわかります。
サイトのゴールを資料請求に決めた際は、記事中やサイトのヘッダーにCVさせたいコンテンツページ(この場合はサービス説明ページ)への導線をつけるなどでCV導線を整理できます。
このようにサイト設計を行い、CVへの導線をクリアにすることで、目標達成に繋げることができます。
サイト滞在時間や回遊率に影響する
ブログサイト(アフィリエイトサイト)などで複数ページの閲覧を誘導したい場合、サイト内を回遊させる仕組みを考える必要があります。ユーザーに違和感を与えず次ページへ遷移してもらうには、サイト設計が重要です。
サイト内の回遊率と滞在時間が上がれば、ブラウザバックされにくくなり、ライバルサイトへ顧客が流れることを防げます。
Googleのインデックス効率化でSEOに影響
検索順位を決める過程で、Googleのロボットがサイト内部リンクをクロールします。
この時、内部リンクで繋がっていない孤立したページがあると、クロールの効率が落ち、結果的に該当ページの検索順位は上がりづらくなってしまいます。
SEOの観点でも、サイト設計時に、孤立ページを作らないリンク構造を意識しなければなりません。
段階ごとにサイト設計の流れを解説
サイト設計では以下の流れで内容を決めます。
- Webサイトの目的や課題、ターゲットを明確化
- サイトマップを作成
- ワイヤーフレームを作成
具体的にどんな内容を決めていくのか、それぞれの詳細を見ていきましょう。
①Webサイトの目的や課題、ターゲットを明確化
サイトを作成する目的やサイトで実現させるために生じる課題、どのようなユーザー層・ターゲットがサイトに訪れるのかを、事前に明確にしておく必要があります。
サイトの目的や課題次第でデザインや構造などが大きく変わるため、大規模なコーポレートサイトやECサイト、サービスサイトなどは特に重要です。
②サイトマップを作成する
サイトマップは、サイト内の階層構造を表す表です。
サイトを構築するには、サイトに訪れたユーザーがストレスなく内部リンクを辿れるか、客観的に見ておく必要があります。
ブログサイトであっても、カテゴリと記事間の繋がりを整理できるため、俯瞰して見えるように作成することをおすすめします。
③ワイヤーフレームを作成する
サイトの指針(目的・課題・ターゲット)を整理してサイトマップを決めたら、ワイヤーフレームを作成します。
ワイヤーフレームは、実際のページで見えるサイト内のコンテンツを配置する箇所や、ページ間のリンクがわかるサイトの設計図です。
デザイン作成前、設計の詰めとなる段階のため、今までの情報に反映漏れがないか注意しながら作成することが必要です。
サイト設計の要件定義書とは?
さきほど、サイト設計をする最初の段階で「Webサイトの目的や課題、ターゲットを明確化」することが重要と説明しましたが、このようなサイト情報をまとめたものを「要件定義書」と呼びます。
ここでは、サイト制作時に統一させておきたい要件とは何か、要件定義書に記載する例を解説します。
サイトを構築する目的
- 現在の営業販路がローカルに偏っているため、Webを使って広報と営業を強化したい
- 見込み客のリードをWebサイトから獲得したい
- アフィリエイトサイトからCVさせて、収益を発生させたい
上記のように、サイトを構築する目的をまとめます。
サイト構築で必要な機能
- 問い合わせフォーム
- 商品を管理画面から更新できるCMS機能
- 買い物カゴや決済機能
サイトの構築目的を実現させるために必要な機能を明確にします。
必要なページ数とページ毎の役割
既存ページのリニューアルの場合でも、必要ページ数を設定しておくことは「工数の見積もり」や「コスト算定」に必要です。
ページごとの役割は、サイトマップやワイヤーフレームに落とし込むためにも、事前に決めなければなりません。
ブラウザや端末の対応範囲
現在のWebサイトは、どのような端末サイズであっても自然に閲覧できるレスポンシブWebデザインが当たり前となっています。
構築から年数の経っている古いWebサイトのリニューアルなどで、PC・タブレット・スマートフォンなど未対応の端末があれば、課題と合わせて記載しましょう。
また、Webサイトを閲覧するブラウザは、ソフトによって見た目を構成するCSSに対応の偏りがあります。
- Edge
- Google Chrome
- Safari
- FireFox
バージョンごとに仕様が異なるため、どのバージョンまでの対応とするかはサイト構築前までに決めましょう。
ブログサイトで考慮したいサイト設計とは?
ブログサイトはGoogle AdSenseやアフィリエイト広告などで収益を上げる以外にも、別サイトへの集客として機能させることが多いです。
ページ数が多くなるため、Googleのクローラビリティ(SEO)と、ユーザー体験(UX)両方を意識したサイト設計が必要となります。
ブログのテーマ・想定読者層を明確にする
記事数(ページ数)が増えたとき、コンテンツに統一性を持たせるためにも取り扱うブログのテーマで想定される読者層を明確にします。
コンテンツが一貫している場合、サイト内の回遊率が上がりやすくなります。
KWとカテゴリ構造をあらかじめ決める
執筆前に、狙うKWとカテゴリ構造を決めます。検索ボリュームが大きすぎるキーワードでは上位表示が難しく、逆に少なすぎると流入数が見込めません。
サイトの成長度合い(記事数や被リンクの数など)を考慮して、検索ボリュームを決める必要があります。
カテゴリ構造はユーザーの導線を意識し、ジャンルがまとまるようにあらかじめ設定しなければなりません。カテゴリ単位でSEO評価が上がれば、記事単体の検索順位も上がりやすくなります。
同一カテゴリの中で検索ボリュームが多く、テーマの軸となるKWが設定された記事をピラーページ(まとめページ)、検索ボリュームは少なくても、ピラーページに繋がる周辺のKWが設定された記事をクラスターページ(補足ページ)として設定します。
クラスターページ同士を内部リンクで繋ぐモデルは「トピッククラスターモデル」と呼ばれます。トピッククラスターモデルは、現在のSEOにも有効なサイト設計戦略の一つとなっています。
URL名(スラッグ)に規則性を持たせる
サイトURLや記事ページURLは、一目でサイト内容がわかるようにしておいたほうがいいです。
意味のない英数字の羅列と比べ、ユーザビリティ(ユーザーにとっての使いやすさ)がよくなることはもちろん、Googleのクローラビリティ(巡回のしやすさ)も向上します。
カテゴリ設計の段階で、ある程度規則性を持たせるように決めましょう。
収益記事に向けた内部リンクを考慮する
アフィリエイト広告を貼っているページや自社商品の販売をしている収益用のページがある場合、SEOやSNSから集客できている他ページから内部リンクを貼りましょう。
ユーザー行動を誘導し、自然に複数ページを経由させられるのがブログサイトの特徴なので、内部リンクの繋がりを考慮することが重要です。
コーポレートサイトで考慮したいサイト設計
コーポレートサイトは多様なタイプがあるため、ほかのWebサイトと比較し、事前設計の重要度が特に高いサイトともいえます。
ブランドイメージやサイト目的・戦略を整理する
企業の経営理念などからブランドイメージを整理することは、サイトのデザインにも大きく影響するため、サイト設計において重要です。
「問い合わせ窓口として機能させたいのか」や「サービスサイトへの誘導を目的とするのか」など、サイトの目的とその実現に必要な戦略を決めます。
サイトタイプを明確にする
コーポレートサイトにもいくつかのサイトタイプがあります。
- プロダクトサイト型
- ブランドサイト型
- 採用重視型
- IR重視型
プロダクトサイト型
プロダクトサイト型は、企業が手がけるサービスの営業がメインとなるサイトです。主に、問い合わせなどから見込み客(リード)を獲得するための導線を組む場合が多いでしょう。
商品名から検索して流入するユーザーも考慮し、コーポレートサイト内に商品ページを設置する構造になります。
ブランドサイト型
企業やサービスのブランドイメージ訴求が目的となるサイトで、CVさせるサイトは別サイトに用意します。販売サイトへ誘導した数や、リンクのクリック率などを指標としてサイトを評価します。
採用重視型
企業の人材採用を目的としたサイトで、外部のリクルート系サイトからリンクさせることも多いです。求人者からの問い合わせや応募窓口として機能させることを目的とします。
IR重視型
IR系の外部サイトからリンクさせるなど、投資家に向けた経営情報の発信を目的としたサイト。最新の情報を更新・広報することが重要です。
サイトタイプに合わせて導線設計する
サイトタイプによって異なる目的を把握し、リンク構造や誘導のためのコピーを考えます。サイトマップを作成し、トップページからの階層を意識したサイト設計が必要です。
EC(ショッピングサイト)で考慮したいサイト設計
ほとんどのECサイトは、商品のCV(成約)が目的となるため、その点に照準を合わせて自社商品に必要な要件をサイト設計時に整理する必要があります。
必要ページを整理しコンテンツ設計する
商品の魅力が伝わる画像やテキストが用意されていても、ユーザーが商品を購入するための導線にストレスがあってはいけません。
- トップページ
- 商品ページ
- 決済ページ
- お問い合わせページ
上記は一例ですが、CVするために必要な導線と、その過程でユーザーがたどるページを整理しておく必要があります。
サイトマップで階層構造を整理する
必要ページをピックアップしたら、ユーザーの導線設計を組むためにサイトマップを作成し、サイト内の階層構造を整理します。CVを目的とするECサイトでは、いかにスムーズにユーザー行動を設計できるかが重要です。
カートなど機能要件を決めておく
- 商品カテゴリ分け機能
- 会員機能
- カート機能
- 決済機能
ECサイトに必要な機能を整理し、要件定義書にまとめます。機能と構築方法によって制作コストも大きく変わってくるため、後から追加しなくてもいいように設計時にしっかりと決めておく必要があります。
サービスサイトで考慮したいサイト設計
サービスサイトは、サイトに設定する目的次第でサイト構造が大きく変わります。必要な要件は何なのか、サイト設計時に整理します。
主要ターゲットとコンテンツを明確にする
どんなサービスをどのような形で届けるのかで、ターゲットとなるユーザー層が変わります。
年齢層や職業、社会的な立場や家庭環境など、細かくペルソナを決めておくことはサイトのデザインイメージにも大きく影響します。
サービスサイトは「商品の魅力を訴求してCVさせる」や「見込み顧客を獲得する」などが目的となるため、それらに必要なページを明確する必要があります。
CTAへの導線、CVRにつながるコピーなど営業戦略を練る
CTAとは、成約ポイントとなる申込ボタンなどのことです。サイト内のどこにCTAを設置するかで、CVR(成約率)は大きく変わるため、過去のデータや競合サイトを分析してワイヤーフレームを作成する段階で決めます。
また、CVさせるにはユーザーにアクションを起こさせるコピーも必要であり、営業的な要素も考慮しなければなりません。
「AIDMA」や「AISAS」など、ユーザーの心理変化における有名な購買行動モデルは古くからあります。近年では、SNSなどの普及から「SIPS」と呼ばれる購買行動モデルも提唱されるようになりました。
- S・・・Sympathize(共感)
- I・・・Identify(確認)
- P・・・Participate(参加)
- S・・・Share & Spread(共有 & 拡散)
商品に共感し、サービスサイトを確認してもらった上で、ユーザーが参加できる企画などを用意してSNSでシェアしてもらう仕掛けを作ることも、サービスによっては有効です。
サイト内だけでなく、ペルソナを元に流入経路なども想定した営業戦略の立案が重要となります。
まとめ
Webサイトには何かしらの目的が設定されますが、その目的達成のためにはサイト設計が重要となります。
ブログサイトのように個人で運営できるWebサイトから、コーポレートサイトなど規模が大きく、複数人体制での運営が必要なWebサイトまで、サイトの種類はさまざまです。
ご自身でサイトを構築するノウハウがない場合は、専門の業者に依頼し、綿密な打ち合わせを重ねながら設計する必要があります。サイト作りで失敗しないためにも、サイト設計のポイントを押さえることが大切であることを理解して進めましょう。