サービス立ち上げに至った経緯
―――[ちょうどいいWebデザインギャラリー]は、どういった経緯でサービスの構想に至ったんですか?
私自身、ギャラリーサイトに掲載されているWebサイトをデザインの参考にすることが、そこそこの頻度であるんです。
パッと目を引いたり、最先端の技術を使ったりしているサイトをまとめたギャラリーサイトを見るのは、まるで美術館で絵を眺めているような感覚でした。
でも、美しいものを日々の業務の参考にできるかといわれると、なかなか難しいな、と思うことが多くて…。
実際に求めていたのは、美術館ではなく図書館みたいなものだったんですよね。私が本当に知りたいのは「美しいデザイン」ではなく「なぜこのデザインが美しいのか」という解説だったんです。
けれど、そういったことが知れるサイトって少ないなと。だから、誰かそんなギャラリーサイトを作ってくれないかな〜って思っていました(笑)。一年くらい前からずっと。
―――でも、一年間そういったギャラリーサイトは生まれなかったと。
そうですね。なので、重い腰を上げて自分たちで作ることにしました(笑)。
サービス立ち上げにあたっての課題
―――立ち上げにあたって、懸念や課題はありませんでしたか?
課題ばかりでしたよ。競合サイトはたくさんあるし、時間はないし、無名だし。
今からどんなに時間を注いでも、すでに何年も運用されているギャラリーサイトには敵わない。自分だけで頑張っても、同じラインになんて到底並べないのがわかっている、絶望からのスタートでした。
でも、競合サイトを調べていくうちに「いろんな環境にいる人が集まって、みんなで運営しているギャラリーサイト」がないことに気づいたんです。
なので、いろんな人に、いろんなサイトをピックアップしてもらいました。地元で有名なケーキ屋さん、いつか行ってみたい旅行先、大好きな趣味のサイトなどなど…。
―――なんだか身近に感じるものばかりですね。
そうなんです。そうやって、有名ではないかもしれないけれどユーザーが日常の中で目にするような、等身大で参考にできるサイトを集めることができました。
「こんなサイトがあったんだ」「こんな考え方があったんだ」と、ワクワクするような新しい視点との出会いがたくさん、たくさん、ありました。
結果的に「自分では思いつかないような、いろんな人の視点が知れる」という、[ちょうどいいWebデザインギャラリー]ならではの強みを生み出すことができたかなと思っています。
―――サービス名称の通り、まさに「ちょうどいい」サイトを紹介するギャラリーサイトといったところでしょうか。
そうですね…あ、でも、厳密にはサービス名称は途中で変更になったんですよ。当初のサービス名称案は「ちょうどいいギャラリーサイト」でした。
けれど、公開前にさまざまな業種の方からサービスへのご意見をいただく中で「ちょうどいいギャラリーサイト」という名称だと、いったい何を載せているのかわからないという声が多かったんです。
私は普段からWebデザインに関わっているので「ギャラリーサイトといえばWebやデザインの参考サイト」という認識だったのですが、実際にはそうではなかったということですよね。
そこで、サービス名称に「Web」「デザイン」といったワードを盛り込むことで、普段Webデザインに関わっていないユーザーにも、どういったサービスなのかを端的に伝えられるようにしました。
―――ちなみに、途中で変更したことは他に何かあったんですか?
紹介するWebサイトのデザイン意図をどのように伝えるかでしょうか。当初は、サイトのスクリーンショットを撮った上で良いポイントを書いていたのですが、今ひとつ伝わりにくいように感じました。
そこで、スクリーンショットではなく、スクリーン録画方式を採用することにしました。結果的にサービスの独自性に繋がったので、よかったなと思っています。
サービスの特徴
―――改めて[ちょうどいいWebデザインギャラリー]の特徴を教えてください。
[ちょうどいいWebデザインギャラリー]は、一目ではわからないデザインの工夫やクリエイターの着眼点を「ちょうどいいポイント」としてフォーカスしたギャラリーサイトです。
キュレーターには、デザインに長く携わっている人、デザインを学びたての人、デザインがただ好きな人など、感性や視点が異なるいろんな人がいます。
そんな彼らと一緒に、限られた条件の中で成し得た最大限のパフォーマンスの結果を 「ちょうどいい」と定義して、さまざまなサイトのいいところをたくさん言語化しています。
―――「条件」とは?
Web制作にあたっての条件ですね。たとえば、予算があって、工数に余裕があって、人が揃っていて…というように、制約が少ないのが理想的です。
しかし世の中、そんな素晴らしい条件下ばかりで制作が成り立っているわけではありません。ただ、条件が揃わなくても 「ひとひねり」で問題を解決することはできます。
さまざまな工夫や人の考え方、着眼点に触れることで、新しい視点…つまり「ひとひねり」を得ることができる。[ちょうどいいWebデザインギャラリー]を通して私たちが作りたかったのは、そんな学びの場なんです。
サービス公開後のユーザーの反応
―――サービス公開は2022年の9月ですよね?
はい。[ちょうどいいWebデザインギャラリー]は、目標の1,500件を上回る、約1,700件のサイト紹介とともに公開しました。
ありがたいことに、公開直後から、約1,000件のはてなブックマークをいただきました。アクセスもすごくて、公開1週間で約3.4万UU、PV数は約9万にも上ったんです。
―――9万PV!平均的なサービスサイトのPVが1ヶ月で1万が頭打ちとされている中、驚異的な数値です。成功の決め手は何だと思いますか?
たくさんの方を巻き込んで、Web業界から共感を得られたことだと思います。
[ちょうどいいWebデザインギャラリー]は、Web制作に携わる自分自身が本当に欲しいサイトだったので、同じような思いを持つみんなの「これ欲しかった!」に刺さったのではないかなと。
リリース告知にはTwitterを使ったのですが、私の投稿よりも、サイトをいいと思ってくれた方々の投稿のほうが伸びていましたね。たくさんの人が、自分の周りの人に教えたいと思って、広めてくれたからこその数字でした。
あとはやっぱり、ただサイトを並べて見せるだけではなく、人の視点に触れられるというコンテンツ力が強かったのかなと思います。
同じものを見ていても、自分の見えているものと他の人の見えているものって、全然違うんですよね。さまざまな視点に触れられて勉強になるということで、毎日来てくれている人もたくさんいました。
…とはいえ、正直、こんなに伸びるとは思っていなかったのが本音なんですけど(笑)。本当に嬉しいし、ありがたいなって思っています。
サービスのこれから
―――最後に、今の思いと今後の展望を教えてください。
サービス制作中は、「まじ最高!早く公開したい」というポジティブな気持ちと「いや、全然ダメじゃん、お蔵入りにしたい…」というネガティブな気持ちが入り混じっていました。
でも、手伝ってくれる人がだんだん増えていって、この人たちのためにも最良の形でリリースしたいなという気持ちが強くなって。本当に、みんなで作ったからできたサービスだと今は思っています。
そして、サービスは公開して終わりではなく、むしろ公開してからの改善こそが重要です。
今後は、Webの専門用語を知らないWeb制作担当者の方でも目的のデザインが感覚的に探せるような、タグ検索機能を実装予定です。
[ちょうどいいWebデザインギャラリー]がデザイン界の図書館のような立ち位置になって、これからものづくりをする誰かの役に立てたなら嬉しいです。
ということで
[ちょうどいいWebデザインギャラリー]では、「ちょうどいい」サイトを一緒に探してくれるキュレーターを募集しています!デザインに長く携わっている人、デザインを学びたての人、デザインがただ好きな人。応募はどなたでも大歓迎です。
残しておきたいブックマークを一覧で保存したり、ご自身が作成したサイトを載せて、工夫したポイントを書く場所として使用いただくことも可能です。
[ちょうどいいWebデザインギャラリー]には、みんなの力が必要です!ぜひ一緒にサービスを育ててみませんか?気になる方は、下記のリンクより応募をよろしくお願いします!