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Webサイト制作における「検収」とは?
Webサイト制作における「検収」とは、納品後に行う作業で、納品物に問題ないか確認することを指します。次に説明する「検証」の段階で不具合を消し込み、検収段階では完璧な状態になっていることが理想です。
とはいえテストサーバーでは正常に動作していたものが、クライアントのサーバーへ移行すると動かない場合もあります。このような事態を防止するためにも、納品後の検収作業は欠かせません。
よく似た言葉「検証」とは?
検収とよく似た言葉である「検証」は、Webサイト制作においては成果物を納品する前に行う作業です。多くの場合、制作段階ごとに仕様を確定しても大丈夫か、発注者が確認する必要があります。
ただ検収のように、わかりやすく示されている場合はあまりないかもしれません。また、Webサイト以外にもシステム開発も並行して行う場合は、リクエスト通りの動作になっているかを確認を依頼される場合があります。
Webサイト制作に欠かせない3つの契約書
Webサイト制作に欠かせない契約書には、以下の3つが挙げられます。
- 基本契約書
- 秘密保持契約書
- 個別契約書
いずれの契約書も発注前に内容をよく精査して署名しなければ、トラブルにつながる恐れがあります。ここではそれぞれの契約書ごとの内容や記載事項などを解説します。
1.基本契約書
基本契約書とは、Webサイト制作会社と自社間の取引における、基本的な約束を定めた契約書です。契約期間、制作物の権利はどちらに帰属するのか、検収などのルールについて記載されています。
基本契約書では、成果物を納品したあとの関わり方をチェックしておきましょう。多くの場合、保守運用は別料金が定められているため、価格や依頼方法などを十分に擦り合わせることが大切です。
2.秘密保持契約書
秘密保持契約書とは、相手に社外秘となる情報を外部に漏らさないことを約束する契約書です。
一般的には「NDA」とも呼ばれます。Webサイト制作に必要なやり取りをするうえでは、非公開情報が含まれる場合がほとんどです。
その際、Webサイト制作を請け負う会社が外部に情報を持ち出すと困るため、社外秘の情報を安全に取り扱うために必要な契約です。また、Webサイト制作会社側からも秘密保持契約を求められる場合もあります。
3.個別契約書
個別契約書とは、Webサイト制作における実際の作業の内容や納期、金額など、具体的な内容を定めた契約書です。
一般的にWebサイト制作の契約を結ぶ場合、「基本契約書」と「個別契約書」の2つを合わせて「業務委託契約書」と呼ぶことが多い傾向にあります。
一度、基本契約を締結した企業であれば、別案件であっても個別契約のみを結ぶだけで業務を依頼できます。制作時点では未定かもしれませんが、Webサイト制作を依頼した会社にリニューアルや運用を依頼する場合、次回以降の契約で基本契約を締結する必要はありません。
Webサイト制作の流れ
契約書の重要性を理解したところで、Webサイト制作の流れをチェックしてみましょう。大まかな流れは以下の通りです。
- 契約書の締結
- ヒアリング
- 要件定義
- 仕様の決定
- ワイヤーフレーム
- デザイン
- コーディング
- 検収
- 納品
いずれのフェーズも発注側から協力する意志を示すことで、よりよいサイトができる上にトラブルのリスクを下げることができます。
契約書の締結
一般的には見積もりやヒアリングを実施して制作委託する会社を決めた時点で、機密保持契約書と業務委託契約書を同時に交わします。
外部に発注する場合「Webサイトを制作するフロー全体」を委託することになることがほとんどです。契約書を交わすフローでは、制作に必要な費用や期間、それぞれの業務範囲、修正対応の取り決めなどを擦り合わせます。
最初に認識を一致させ、トラブル防止につなげましょう。特に業務範囲・金額は納得いくまで説明を求めてください。
ヒアリング
契約書を締結したら、本格的なヒアリングに入ります。Web制作に着手する前に、Webサイトの予算からスケジュール、ターゲット、目的、コンセプトなどを改めてヒアリングします。
その後「キックオフミーティング」を行い、最終的な成果物の方向性を擦り合わせます。
またWebサイトのリニューアルを依頼する場合は、Webサイトの改善点や追加したい機能をまとめるのがこの段階で行うことです。
要件定義
制作会社がサイトの目的を果たすために必要な機能を洗い出し、それぞれの金額や期間を算出します。
この時点では、必要最低限の機能だけではなく、オプション項目も提示されることがほとんどです。予算と期間が十分に確保できる場合、便利な機能や理想とする画像を備えたWebサイトが制作できます。
ただしそこまで予算が潤沢に用意できない場合は、予算と理想のバランスを考えて要件定義を定めます。要件定義の確定後に、実際の金額が確定します。
仕様の決定
見積もりに記載した項目の中で優先順位をつけて、仕様を決定します。このフェーズでどのような機能を備えたWebサイトに仕上がるのかが決まります。
大抵は、予算かスケジュールのいずれかから逆算し、実装する機能を定めます。また、ここで決定した仕様をベースとして、Webサイト制作のスケジュールが確定する場合がほとんどです。
ワイヤーフレーム
決定した仕様を元にWebサイトのワイヤーフレーム(設計図)を制作会社が作成します。Webサイトに実装する機能やテキストが記載されたワイヤーフレームを元に打ち合わせを繰り返し、双方の認識のズレを少なくしていきます。
この段階でデザインなどを可能な限り具体的に伝えると、成果物が上がってきたときにお互いの手間を減らせるでしょう。「プロだから大丈夫だろう」と丸投げしないことがポイントです。
デザイン
ワイヤーフレームを元に依頼側が「ユーザーに対して与えたい印象」を実現できるデザインを作成します。親しみやすい・信頼感をアピール・ポップで可愛らしいなど、さまざまな印象に沿ったデザインが挙げられます。
Webサイトはユーザーへ受け入れられることが大切であるため、あまり自分達のこだわりに固執しすぎないことが重要です。
コーディング
コーディングはデザインをWebサイトで使うための作業です。コーディングを施すことによって、ブラウザ上からで確認できるようになります。
コーディングでは当初にすり合わせた通りの動きをしているか、クリックすると目的のページにリンクするかなど、適切に機能が実装されているかを確認するフェーズです。
検収
検収は、発注側が成果物に問題がないかを確認するフェーズです。一般的に検収期間は1~2週間とされています。
この期間内であれば、動作の不具合やデザインなどで修正点がある場合は無償で修正対応してもらえることがほとんどです。
しかし、対応期間外に不具合が見つかった場合、有償となるため慎重に確認しましょう。検収時には、以下のポイントをよくチェックするように意識してください。
- デザイン
- コーディング
- フォーム
- タグなどSEO関連
- ツールタグ
納品
成果物に問題がなければ納品となり、Webサイトの運用がスタートします。運用に関しては、業務委託契約を結んだ際、運用に関する対応は別契約になると定めていることが一般的です。
そのため運用も制作会社に依頼する場合は、運用・保守契約を結ぶ、またはオプションとして追加してもらうかのどちらかを選びます。
いずれ社内ですべての運用を検討している場合は、担当者を決めて運用の基本を学びながら制作会社に並走してもらえるプランを選べるとよいでしょう。
Webサイト制作でよくある3つのトラブル
Webサイト制作でよくあるトラブルには、以下の3つが挙げられます。
- 金銭トラブル
- 契約トラブル
- 品質トラブル
いずれのトラブルも、事前の擦り合わせが不足していることが原因で起こります。ここではそれぞれに分けて詳しく解説しますので、見ていきましょう。
1.金銭トラブル
金銭トラブルは、作業範囲が明確でないことによって生じるケースがほとんどです。トラブルになりやすいケースには、以下のようなものが挙げられます。
- コンテンツを制作会社が作成する
- あとからスマホ対応を依頼する
- サーバー・ドメインの設定を依頼する
これらは発注時に定義されていないことが多く、あとからトラブルになりがちです。制作に入る前にしっかりと決めておくようにしましょう。
2.契約トラブル
契約に関しては、以下のようなトラブルが頻発しています。
- リース契約をしたら、高額請求された
- 「中途解約できない」といわれた
- 公開後に修正対応をしてもらえない
特に「リース契約」で契約トラブルにつながるケースが多い傾向にあります。「初期費用がかからない」などの営業トークから、安易にリース契約を選択したことでトラブルにつながっているようです。
また、著作権や所有権トラブルもよく発生する事例のため、注意が必要です。制作会社を変更する際、よく起こります。一般的には、Webサイト制作の契約では、以下のように「発注者側に所有権や著作権が帰属する」と定められていることがほとんどです。
- 所有権は納品と同時に発注側に移転し、著作権についても発注側に帰属する。著作者人格権は行使してはならない
とはいえ契約書の内容は制作会社によって異なります。もし、契約が結ばれていない場合は著作権が制作者側にあるため、著作権の帰属については特に注意が必要です。
3.品質トラブル
品質トラブルで多いのは、期待通りの成果物でないことが原因で、特にデザインに関するトラブルが多い傾向にあります。しかし、品質トラブルは「発注方法」が原因である場合が多いといえます。
発注時点で具体的なイメージや希望を伝えられておらず制作会社に丸投げすると、期待通りのデザインは上がってこない可能性が高いです。そのためデザインを発注する際は、以下のポイントを踏まえましょう。
- ターゲットの明確化にする
- 実現したい目的を伝える
- ベンチマークとなるサイトやデザインを提示する
まとめ
Web制作における検収の意味や、サイトが納品されるまでの流れを解説しました。検収は成果物が発注通りのものかを確認する作業です。あとからトラブルが発生しないよう、規定期間内に漏れなくチェックしましょう。
制作会社に納得のいくWebサイトを作ってもらうには、事前のすり合わせが欠かせません。Webサイト制作を発注する際は、金銭を始めさまざまなトラブルが生じる恐れがあります。今回紹介した対策を踏まえWebサイト制作のポイントを理解し、理想的なWebサイトを作成しましょう。