目次
【契約】Web制作のよくあるトラブル
Web制作でよくある契約面のトラブルには、以下のようなものがあります。
- 自社に著作権や所有権が帰属されなかった
- 契約解除ができなかった
- 納品が大幅に遅れてしまった
- 納品後のデザインの修正を断られた
契約トラブルは、事前のすり合わせが十分でなかったことで発生する場合がほとんどです。ここではそれぞれについて詳しく解説します。
自社に著作権や所有権が帰属されなかった
Webサイトは一度作ったら終わりでなく、数年経つとリニューアルが必要な場合がほとんどです。その際、最初にWeb制作を依頼した制作会社とは異なる企業への依頼も考えられるでしょう。
その場合、自社に著作権や所有権が帰属されていなければ、素材やテキストを渡せないことがあります。そのため最初にWebサイト制作時の著作権や使用権の帰属先について、確認を怠らないようにしましょう。
契約解除ができなかった
Webサイト公開後、制作を依頼した会社との契約が解除できないこともよくあるトラブルです。
Webサイトは制作時のイニシャルコストだけでなく、毎月のランニングコストが発生します。毎月かかるランニングコストの中には、制作会社へ支払いが必要なコストもあるでしょう。
毎月制作会社への支払いが必要な前提で契約が組まれていると、契約解除したくてもできない事態になります。例えば、中途解約ができない運用契約になっていたり、支払いは月々でも契約が年単位であったりする場合、中途解約すると違約金が発生するケースも少なくありません。
よって制作依頼する前にしっかりと契約内容やランニングコストを確認しておきましょう。
納品が大幅に遅れてしまった
時にはWebサイト制作が大幅に遅れることがあります。納品が遅れる理由としてよくあるのが「依頼者と制作会社の完成イメージの不一致」です。
お互いのイメージにズレが生じたまま完成してしまった結果、大規模な修正が発生するケースもあります。このような事態を防ぐにも以下のようなやり取りを心がけましょう。
- 完成イメージを発注段階で具体的にすり合わせる
- 契約書に具体的な期日を記載する
納品後のデザインの修正を断られた
Webサイトが納品された後にデザインの修正をお願いしても、場合によっては断られることがあります。デザインの修正回数はトップページの修正回数は3回、下層コンテンツは2回までなど、契約段階で事前に決められていることが一般的です。
コーディング完了後の修正は多くの工数がかかるため、制作会社から修正を断られると自社で対応できない場合もあり注意が必要です。契約前に修正回数や追加費用が発生する作業などを確認しておきましょう。
【品質】Web制作のよくあるトラブル
Web制作の品質面でよくあるトラブルには以下のようなものが挙げられます。
- 想定していたデザインと大きく異なっていた
- デバイスやブラウザによって表示崩れが発生していた
- ファビコンやディスクリプションの記述がなかった
ここではそれぞれについて詳しく解説します。
想定していたデザインと大きく異なっていた
制作会社から提示されたデザインを確認すると、想定していたものと大きく異なることがあります。
通常、1回でイメージ通りのものが提示されることはほとんどなく、要望を制作会社へ伝え修正を重ねてイメージ通りのサイトデザインに近づけていきます。
しかし修正を依頼しすぎると、これ以上の修正は納期に間に合わなくなったり、工数上行えないと断られる場合もありますので注意が必要です。
デバイスやブラウザによって表示崩れが発生していた
Webサイトは、デバイスやブラウザによって表示崩れが発生することがあります。特にスマホでは、改行や背景デザインが使用デバイスによって異なることが多いです。
多くの制作会社ではAndroidとiOSの実機テストを実施していますが、スマホの横向き画面にまで対応はしていない場合がほとんどです。表示確認テストを実施する際、実機テストで使用しているブラウザや、実機テストの範囲などを担当者に質問しておくとよいでしょう。
ファビコンやディスクリプションの記述がなかった
ファビコンはブラウザのタブなどに表示されるアイコンで、ディスクリプションは検索結果一覧で表示される説明文です。
ファビコンやディスクリプションなどは、制作会社によって対応していない場合もあります。契約前の段階で、ファビコンやディスクリプションについての取り扱いを確認しておくと安心です。
【費用】Web制作のよくあるトラブル
Web制作における費用面でよくあるトラブルには、以下のようなものが挙げられます。
- 発注後に想定外の追加費用を請求された
- リース契約をして高額な請求をされた
- サイト公開後の費用について説明がなかった
ここではそれぞれについて詳しく解説しますので、見ていきましょう。
発注後に想定外の追加費用を請求された
Webサイトにはサイトデザインはもちろん、公開やコンテンツ修正などの作業も必要です。そのため事前に契約内容をよく確認していなければ「発注後に想定外の追加費用を請求された!」と思うことがあるかもしれません。
追加費用に関するトラブルは、自社と制作会社の作業範囲が明確でないことが多いため、事前にしっかりとすり合わせを行っておきましょう。
リース契約をして高額な請求をされた
リース契約とは、企業が必要とする物品をリース会社から一定期間有償で借りる契約形態のことです。一見リーズナブルに自社サイトを持てるように感じますが、webサイトのリース契約には注意が必要です。
そもそも無形物であるホームページはリース契約ができないため、有形のソフトなどを契約の対象とします。そのため肝心のホームページ制作を十分にやってもらえない可能性があります。
また、リース契約は途中解約ができないため、どんなに質が低かったとしても、支払いを続けなければいけません。
さらにリース契約では契約期間終了後にWebサイトが自社のものとならず、契約更新もしくはWebサイト削除を選ばなければならないこともデメリットです。
月々の支払額に惑わされず、支払い総額を確認しておきましょう。
サイト公開後の費用について説明がなかった
Webサイトは公開後も運営費用がかかりますが、ランニングコストについて説明がなかった場合にもトラブルは起きやすいと言えます。このような事態を防ぐために、制作会社と担当範囲を事前に確認しておきましょう。
一般的に制作会社が運用を無料で代行することはほとんどなく、制作会社にWebサイトの運用を依頼する場合、ドメイン・サーバー代以外にも運用費や管理費が発生します。
【ケース別】Web制作におけるトラブルの対策方法
ここでは以下の3つのケースごとに、具体的なトラブルへの対策方法を解説します。
- 契約に関する対策方法
- 品質に関する対策方法
- 費用に関する対策方法
いずれの場合も制作を進行してもらう前に確認しておくと安心して依頼できるでしょう。
契約に関する対策方法
契約に関する具体的な対策は、以下の2つが挙げられます。
- 業務委託契約の内容を適切に確認する
- 依頼する作業範囲を明確にする
契約トラブルは多くの場合、発注側の見逃しや契約内容の確認不足から発生します。不明点があれば担当者に確認しておくと安心です。
業務委託契約の内容を適切に確認する
契約書には聞き慣れない文言が多く理解しにくいかもしれません。しかし内容を理解しないまま契約に進むと、トラブルにつながる可能性が高いため、以下の点をチェックしておきましょう。
- 再委託
- 検収
- 瑕疵担保責任
- 著作権
- 損害賠償
上記項目で、自社・制作会社のどちらが主体となるのかを確認してみてください。
依頼する作業範囲を明確にする
Webサイト制作へ着手する前に、依頼する作業範囲を明確にしておくと、トラブル発生を未然に防げるでしょう。チェックしておきたいポイントは、以下の項目です。
- サーバー・ドメインの対応
- 納品形式
- スマホ対応
- OS・ブラウザ対応
- SSL化
- 画像やテキストの制作
制作会社へ依頼する作業範囲以外にも、自社内で担当を明確にしておくとスムーズに公開までたどり着けるでしょう。
品質に関する対策方法
品質に関する具体的な対策は、以下の2つが挙げられます。
- 発注時に要望を具体的に伝える
- 過去の実績を事前に確認する
ここでは要望の伝え方や事前に確認しておきたいポイントを解説します。また、制作会社を選ぶときに見るべき点についても理解しておきましょう。
発注時に要望を具体的に伝える
発注時には、できる限り自社の要望を具体的に伝えるように心がけてください。
サイトデザインのイメージは、事前に社内で協議したうえで、参考サイトをいくつか選定しておくとよいでしょう。参考サイトを共有しておくことで、制作会社も完成イメージを想定しやすくなります。
もし具体的なサイトデザインを共有できない場合、自社サイトのターゲットや目的、ユーザーに与えたい印象などを伝えておくと、最適なアイデアの提案が受けられるでしょう。
過去の実績を事前に確認する
制作会社を選ぶ前に過去の実績を確認しておくと、得意とするデザインや特徴などを理解でき、ミスマッチが防げます。
例えば女性に向けた柔らかいイメージのデザインが得意な制作会社に、ビジネス系の堅めなイメージでWebサイト制作をお願いしても対応していない可能性があります。
費用に関する対策方法
費用に関する具体的な対策は、以下の2つが挙げられます。
- 複数の制作会社に見積もりを依頼する
- 制作費用の支払い形式を事前に確認する
費用に関するトラブルは相場や支払い形式の事前確認で防げることが多いです。ここではそれぞれのポイントを解説します。
複数の制作会社に見積もりを依頼する
Webサイト制作を制作会社に依頼する際は、複数社から見積もりを取って比較すると、相場が把握でき納得のいくWebサイト制作が行いやすくなります。
費用が高い制作会社は、マーケティングやブランディングなどの付加価値を提供している場合がほとんどです。複数の会社に見積もりを依頼することによって、値下げ交渉の材料になる場合もあります。
制作費用の支払い形式を事前に確認する
制作費用の支払い形式は、契約前に以下の点を必ず確認しておきましょう。
- 先払い・後払い
- 一部支払い・全額
- 返金請求のタイミング・条件
基本的には、事前に取り決めた品質の成果物を受け取ってから全額支払うような支払い形式であれば安心です。
まとめ
Webサイト制作会社との間でよくあるトラブルや、ケース別の対策方法を解説しました。トラブルの多くは、事前の確認不足や認識の不一致から起こるものです。そのため、依頼側がより具体的に要望を伝えたり、確認を怠らなければ未然に防ぎやすいでしょう。
この記事で紹介した、トラブルの具体的な対応策や事前に理解しておきたいポイントを理解したうえで、制作会社を選び自社に最適なWebサイトを制作しましょう。