要件定義とは
今回お話を伺ったのは、紙とWebのディレクションを10年やってきたという、ベテランディレクターの菊地さん。
座右の銘は「松のことは松に習え、竹のことは竹に習え」、信条は「一見何も役にたたないことにココロをこめる」、思春期に履いていたのはピンクのジーパンとのことです。
「要件定義って何?」と聞かれたら
―――実際、お客様から「要件定義って何?」とか聞かれることってありますか?
いや、ないですね。
―――話、終わっちゃった。じゃあ、もし聞かれたら菊地さんだったらなんて答えるか教えてください!
逆に、なんて答えますか?
―――出た!質問返し!私だったら「目的を考えて、じゃあこんなページとかこんなシステムが必要だよねっていうのを決めて、スケジュール立てて〜、って作業です!」とか言いますかね…え、合ってますか…
まあ、当たらずとも遠からずですよ(笑)
要件定義って、簡単に言うと「依頼する人と作る人との間で、これを実現しましょうという合意を交わしておくこと」です。ちょっと、かしこまった言い方をすれば、「納品時の検収条件を定めること」って感じですね。
―――納品時の検収条件を定める…?
検収って、これで確かに正しく納品されましたね、という確認を行うことなんですよ。
制作側の我々が「作りました!納品しました!」といくら言っても、お客様が「いや、こういうことじゃなくて」「望んでいた仕様と違う」となってしまったら、納品という形を取れないじゃないですか。
そうやって、言った言わないにならないように「何をもって納品とするか」を双方で事前に定めておく必要があるんです。
―――なるほど!じゃあ、わたしの「スケジュール立てて〜」は、ちょっとハズれてますね。
いや、そんなことはないですよ。要件定義において「スケジュール」も重要な指標の一つです。
「こういうことしたい」「こういうの作りたい」というクライアントの要望や要求に対して、実現できるものを探っていくのが要件定義なんですね。で、それを探るにあたって、以下の3つの指標が必要になるんです。
要件定義時に必要となる3つの指標
- クオリティ(質)
- コスト(予算)
- デリバリー(納期、スケジュール)
クライアントとの合意形成にあたって、上記の3つの指標を軸としながら、実現可能なところを共に探っていくことになります。
どんな、プロジェクトも、予算やスケジュールにおいて何かしらの制限があるはずなので、その制限の中で、お客さんが「これで納品と認めます!」と満足する着地点を探っていくってことになるわけです。
いくらクオリティが高くても「納品までに100年かかります!」「100兆円かかります!」では、検収条件としては現実的ではないですよね。冒頭の話に戻れば、要件定義において、いつまでに納品できるかというスケジュールを定める行為は絶対に必要になってきます。
―――超わかりやすい。
要件定義の費用感ってどう決めるの?
―――ちなみに菊地さんって、要件定義はどう金額設定しているんですか?見積もり全体の◯%とかですか?
いや、案件ごとに全然変わってきますよ。
―――え、そうなんだ。なんでですか?
たとえば極端な話、クライアント側で現状の課題とかWebサイト制作の目的、作りたいページ、検収条件が明確になっていて、かつ、それが制作会社側としても実現可能なのであれば、もう要件定義でやることってほとんどないじゃないですか。だから、そしたら0円でもいいわけですよ。
―――じゃあ、もしクライアントから要件定義費用を値切られたら…
「値切られた費用=工数に値する調査や定義を御社側で行っていただくことはできますか?」という話をするだけですね。
―――単純明快。
でも、だいたいの場合はそれをクライアント側で行うのは難しいので、現状の課題や目指すべきゴールをちゃんとヒアリングして、そのギャップを埋めるべく、どんなページを作ったりシステムを組み込んだりするかを考えていくわけです。
―――さっきの「クオリティ」「コスト」「デリバリー」の3軸を指標に、現実的にどんなページやシステムが作れるかを定めていくということですね!
よくできました。
まとめ:要件定義とはクライアントとの合意形成である
菊地さんの話をまとめると、要件定義とは以下の通りです!
現状の課題や目指すべきゴールを定めた上で
クライアントと制作サイドとの間で「これを実現しましょう」という合意を持っておくこと
「要件定義って何なんだ〜!!」とあたふたしている新人Webディレクターの皆さま、少しでも参考になりましたでしょうか?
もちろん、菊地さんの答えはあくまで一例です。
うちの会社の場合はなんか違う気がする…
自分だったらこう答えるけどなぁ
こんな考え方もあるのか〜!
感想としてはいずれも正解!要件定義は明確な答えのないものだからこそ、クライアントや状況に合わせながら、自分なりの答えを少しずつ探していきましょう。
わからないうちは、菊地さんの考えをパクればOK!「学ぶ」の語源は「真似ぶ」といいますし(諸説あり)、使えるものはとことん使ってWebディレクターとして共に生き延びていきましょうね…!
まずはこれで受け答え(だけ)は完璧!それではまた次回!