目次
CPOとは?
CPO(Cost Per Order)とは、新規の申し込みや注文を獲得する際に、1件あたりにかかった広告費を指しています。CPOが利益に占める割合によって業績が左右されるため、なるべく安く抑えられればコスパ良く運用できていることになります。
しかし、広告費は多くの費用がかかりやすく、戦略的なマーケティングをしなければ莫大な費用をかけても効果を得られないケースもあるでしょう。
最悪赤字や倒産などの可能性があるため、広告運用を行う際はCPOのチェックが欠かせません。ここからは、CPOについて以下の2つをご紹介します。
- CPOの計算式
- CVとの関係性
CPOの基本情報を確認し、理解を深めましょう。
CPOの計算式
CPOは、「 広告費 ÷ 新規顧客獲得数 」の計算式によって求められます。ポイントは新規顧客獲得数のみなため、リピーターやお試し申し込みの新規顧客はカウントしません。
本申し込みの新規顧客数に絞って計算しましょう。たとえば、以下の条件でCPOを算出するとします。
広告費は200万円
顧客獲得数は100人
うち新規顧客は20人
計算式に当てはめると、200万円 ÷ 20人 でCPOは10万円です。新規顧客1人を獲得するのに10万円かかっている計算になり、適切な運用ができているかはCPOが利益に対して占める割合によります。
たとえば利益10万円に対してCPOが10万円であれば利益が出ないため、マーケティングを見直す必要があるでしょう。CPOだけでなく、利益との割合も見ることをおすすめします。
CVとの関係性
CV(コンバージョン)とは、サイトに訪問したユーザーが申し込んだり資料請求をしたりなどのアクションをカウントしたものです。
測定したいアクションによってCVの内容は変わるため、CVを測定する目的によって設定するといいでしょう。CPOの場合は、新規顧客による本申し込みをCVとして設定します。
しかしCVのみでは、全体のアクセスのうちどのくらい獲得できているのか把握できません。100CVを獲得できていても、多いのか少ないのかはアクセス数などの母数によるため正確な判断は難しいでしょう。
そのため、サイト全体のアクセス数に対してどのくらいCVを獲得できているかを表すCVR(CV率)も一緒に確認するのが効果的です。客観的に広告の運用状況を把握できるでしょう。
CPOの具体的な使い方
CPOは、広告の新規顧客に向けた費用対効果を客観的に判断するのに役立ちます。たとえば、売値1,000円でCPOが500円の商品が新規顧客100人に売れた場合、費用対効果は以下の通りです。
1000円 × 100人 で売上合計は 10万円
CPO500円 × 100人 で広告費は 5万円
10万円の売上に対して広告費は5万円であり、原価などを考えないとすると黒字であることがわかります。このようにCPOを利用すれば、新規顧客に対しての費用対効果をすぐに把握できるため、運用状況を確認したいときにおすすめです。
限界CPOとは?
限界CPOとは、新規顧客獲得にかけられる広告費用の上限額を表します。限界CPOを超えると広告費が利益分を超えて「赤字」の状態になるため、厳守しなければならない値です。
限界CPOは、「LTV(Life Time Value)」を利用して求めます。LTVは顧客生涯価値を指しており、顧客が取引期間のうちにどのくらいの費用をかけてくれるかを算出するものです。計算式は「 顧客の購入単価 × 購入回数 」であり、限界CPOは「 年間LTV - (広告費以外の年間経費 ÷ 年間の顧客総数) 」で求められます。
全体の売上を基準に考えることで、新規顧客に対してどのくらいの広告費をかけられるか明らかになるでしょう。
CPOと関連する2つのマーケティング用語
CPOと関連するマーケティング用語には、以下の2つがあげられます。
- CPR(Cost Per Response)
- CPA(Cost Per Action)
どちらもCPOと比較しながら分析されることが多い用語です。ここからは、2つの用語について意味や使い方をご紹介します。
CPR(Cost Per Response)
CPRとは、サンプルやお試し期間など本契約以外のサービスに対する申し込みを獲得するのにかかった広告費を指します。
CPRを使えば、本申し込みの顧客以外で将来的に顧客になる見込みがあるユーザーがどのくらいいるのかを把握できるでしょう。CPRが低くCPOが高い場合、お試し期間中にユーザーのサービスや商品に対する評価が下がったことが考えられ、改善すべきは商品にあることがわかります。
CPOが高い原因が広告なのか商品なのかわかるため、CPOとは合わせて比較することをおすすめします。
CPA(Cost Per Action)
CPAとは、お試し申し込みや本申し込みも含めた全てのCVを獲得する際に、1人あたりにかかった費用を指しています。CPAとCPOを比べれば、新規顧客と総顧客を獲得する際のコストの差を確認できるでしょう。
一般的にはCPOの方が高くなりますが、CPOとCPAが変わらない場合は継続率が低いということになります。継続させるための方法を考えるなど、新たな課題を見つけるきっかけにもなるため、CPAもチェックしましょう。
CPOの平均値
CPOの平均値は、約1万円であるといわれています。しかし商品の料金や業種によって異なり、高額な商品は購入までのハードルも高いためCPOも1万円より高くなる傾向です。
CPOはなるべく低く抑えるのが理想的ですが、あまり抑えることにばかり目を向けると広告自体を減らすことになります。新規顧客の目に届かなくなり、顧客獲得のチャンスを逃す可能性もあるため、1万円程を基準に考えましょう。
CPOを改善する2つの方法
CPOを改善するには、以下の2つの方法があげられます。
- LTVを向上させる
- CVRを向上させる
CPOを改善することで利益分が増えます。安定した経営を続けるためにCPOを改善させることは必要不可欠なため、2つの方法を試してみることをおすすめします。
方法1.LTVを向上させる
LTVを向上させれば限界CPOが上がります。限界CPOが上がれば、限界CPOに占めるCPOの割合は低くなるため効率よく運用できている状態になるでしょう。
LTVの計算式からわかるように、新規顧客を獲得しなくても購入単価と回数を上げればLTVは向上します。そのため、まとめ買いで割引をしたり、リピーター客へクーポンを配布したりなど、何度も利用したくなる制度を作るのがおすすめです。
方法2.CVRを向上させる
CVRを向上させるのに重要なことは以下の3つです。
- ターゲットに届きやすいキーワードを選別
- CVRにつながるボタンへの動線を整える
- 適切なターゲティング
CVRを向上させるためには広告の内容やターゲティングが最も重要です。ターゲットが適切でなければ良い商品でもCVにつながらず、キーワードがターゲットに合わなければ商品を認知されることはありません。
また、広告に流入してきたユーザーが商品を購入しようとしても、申し込みボタンの位置が分かりにくいとストレスを感じ離脱につながります。そのため、CVまでの動線はわかりやすく整えましょう。
CPOでよくある3つの質問
CPOに関してよくある質問として、以下の3つがあげられます。
- LTVを上げるにはどのような方法がありますか?
- CPOの理解が重要視される理由は何ですか?
- CPAを下げるためにできることは何ですか?
ここからは、3つの質問について詳しく解説していきます。
質問❶ LTVを上げるにはどのような方法がありますか?
LTVを上げるためには、以下の3つの方法が効果的です。
- 購入単価を上げる
- 購入回数を上げる
- リピーターを増やす
購入単価を上げるには、より高額な商品やいくつかの商品を同時に購入してもらう必要があります。しかし、既に顧客が気に入っている商品がある場合は、別の高額商品を購入してもらうのは難しいでしょう。あまり押し売りすると顧客が離れる可能性もあります。
そのため、商品にランクをつけ、同じ種類でも効果などに差がある商品をいくつか展開させるのがおすすめです。たとえば化粧水の場合、同じ種類でもBランクとSランクの商品があるとします。
既に顧客がBランクの化粧水を購入している場合、Sランクの化粧水は種類は同じで効果がより高いことをアピールできます。そのため、自然な流れで購入単価を上げやすいでしょう。
また購入回数を増やすのに定期便やクーポンの発行をしたり、丁寧な接客でリピーターを増やすのもLTVを上げるのに効果的です。
質問❷ CPOの理解が重要視される理由は何ですか?
CPOを理解することが重要であるとされる理由は、以下の2つです。
- 広告に無駄なコストをかけることを防ぐ
- 広告に最低限必要な財源を用意できるか把握するため
広告で最も重要なことは費用対効果です。莫大な料金をかけて宣伝しても、効果がなければコストが無駄になります。
そのため、CPOの平均値は広告費の基準にもなるため、広告費を無駄にかけていないか確認するのに重要でしょう。
また、CPOは平均1万円であることから、1,000人の新規顧客を獲得するのに平均1,000万円かかる計算になります。目標と照らし合わせて、必要な予算を用意できるのか確認するうえでもCPOは重要です。
質問❸ CPAを下げるためにできることは何ですか?
CPAを下げるためにできることとして、以下の3つがあげられます。
- 無駄な広告費をカットする
- CVを増やす
- サイトや広告を改善する
広告は多く出せば結果が出るものではなく、キーワードを選定したりターゲットによって媒体を変えたりなど戦略が必要です。そのため、長期運用しても結果が出ない媒体や広告は出稿を取り止めたり、キーワードの見直しをしたりなど無駄な広告費をカットすることをおすすめします。
またCPAはCV数に直結しているため、CV数を増やすためにサイトや広告の改善をするのも効果的です。CVにつながるボタンを多く配置したり、顧客が知りたい情報をリサーチして載せるのもおすすめでしょう。
まとめ
今回はCPOについて、使い方や平均値、改善方法をご紹介しました。広告の運用状況や無駄なコストがかかっていないか確認するのに重要な指針になるため、マーケティング担当者や経営者は必ず理解する必要があります。この記事を参考に現在のCPOを確認し、CPAやCVなどと比較して改善すべき点を洗い出しましょう。